PontianakMFレーダー観測再開

ボルネオ島の赤道直下、PontianakにあるLAPAN観測所におけるMFレーダー観測を2002年6月24日に再開した。近く、EARサイトに設置する流星レーダー、ならびにジャカルタ郊外のスルポンで1992年以来連続運転している流星レーダーと合わせて、3点で同時に中間圏界面付近の観測ができる見込みである

そもそもこのMFレーダーは、アデレイド大と共同で1995年に設置し、1997年まで連続運転したが、雷害で故障し、約1年後に再開したものの、今度は直撃雷を受け、観測を停止していた。今年の初めにレーダーシステム全部をオーストラリアに返送し、またLAPAN職員も研修のために3週間出張させて、ようやく修理が終わった。レーダーの再設置、運転再開はLAPANのスタッフのみで行うことができたので、研修の成果があったようで、今後の運用もある程度、現地で対応できるであろう(写真1,2)

現在のシステムでの連続観測と並行して、このレーダーに装置を追加して、運動量フラックス測定ができるシステムに改良中である。このために半波長ダイポールアンテナ(長さ75m)11基連結した十字形アンテナアレイ(全長約900m、アンテナ高10m)既に建設しており、試験観測を8月に開始する予定である(写真3,4)

ところで、Pontianak市は西カリマンタンの州都で、人口約50万人多数は中国系である。 Jakartaからの空路便はGarudaMerpati等が一日に数往復運行しており、約1時間かかる。空港から市街中心部まで約20余りで、道路は整備されている。さらにLAPAN観測所まで20-30で到着するLAPANの観測所には約20名が勤務しており、観測用地は2ヶ所ある(写真5)。既存の観測所(150mx200m)にはアイオノ ゾンデが設置されていたが、最近取り払われた。現在は職員宿舎と事務所のみとなり、かなりスペースが空いている。一方、我々が1995年に開拓したレーダーサイトは3kmx3kmの広大な敷地で、その中央にMFレーダーを設置している。現在のアンテナ干渉計は300mx300mを占める。また、最近、建設を終えた長大アレイは900mx900mの十字形である、まだまだオープンスペースが広い。

(京都大学宙空電波科学研究センター教授・津田敏隆)



写真1: MFレーダー(SAD)システムの送信機(左)と受信機
写真2: 同、データ処理計算機とEffendy
写真3: Pontianakに建設した十字形アレイ(延長1Km)
写真4: アンテナタワー(高さ10m)
写真5: Pontianak観測所のLAPAN職員

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